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狭心症・心筋梗塞

公開日: 2021-06-21
更新日: 2023-12-05

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宇井 進 医師

狭心症・心筋梗塞とは

心臓を覆っている血管(冠動脈)が狭くなる あるいは 詰まることによって、心臓の筋肉細胞(心筋細胞)に十分な血液が流れなくなった状態が狭心症です。一方、心臓を覆っている血管(冠動脈)の血流が完全に途絶えて、心臓の筋肉細胞(心筋細胞)が壊死した状態が心筋梗塞です。

原因

狭心症

心臓を覆っている血管(冠動脈)の内側(血管壁)に、コレステロールや血の塊(血小板血栓)を中心とした「プラーク(粥腫/じゅくしゅ)」と呼ばれる物質が蓄積し、やがてそれが塊となります。その塊が大きくなるにつれて、徐々に血管が狭くなり、血液が十分に流れなくなることで起こります。

ほかに、心臓を覆っている血管(冠動脈)の筋肉が痙攣することで血管が狭くなり、血液が十分に流れなくなることで起こる異型狭心症(冠攣縮性狭心症)もあります。

心筋梗塞

多くの場合、もろくなったプラークが突然破れ(プラークラプチャー)、そこに血の塊(血栓)が詰まって、血流が途絶えることで起こります。そのほか、プラークが大きくなり、血管をふさいでしまうことで起こる場合もあります。

狭心症や心筋梗塞が起こりやすくなる要因には以下のようなものがあります。

〇主なリスク要因

高血圧 / 糖尿病 / 脂質異常症 / そのほか生活習慣病 / 肥満 / 喫煙 / 飲酒 / 遺伝 など

症状

主な症状は胸痛(胸の痛み、胸が圧迫される、胸が締め付けられる、息がつまる など)や、運動時の息切れです。

胸を中心に、顎や首、みぞおち、背中、腕にまで痛みが広がることがあります。狭心症の場合は主に身体を動かしているときに症状があらわれやすく、数分程度で痛みがおさまるのに対して、心筋梗塞になると安静時でも症状があらわれ、痛みも20分以上続きます。

痛みがない場合もあり、だるさや食欲低下、意識状態が悪い、意識を失うというような症状のみがあらわれることもあります。

検査・診断

一般的な問診で症状などを確認します。狭心症や心筋梗塞が疑われる場合は、必要に応じて血液検査や心電図検査、心臓超音波(エコー)検査などが行われます。また、冠動脈CTやRIなどによる画像検査で、血管や血流の状態を確認します。最終的には、細い管(カテーテル)を血管内に挿入して行う「心臓カテーテル検査」によって、どの程度血管が狭くなっているか、どの部分に詰まりがあるかなど、血管の状態をさらに正確に確認する検査が行われます。

治療・治療後の注意

「薬物治療」「カテーテル治療」「外科的治療」に大きく分けられます。

薬物治療

血流を改善するために、血管を広げる薬や血液をサラサラにする薬、血圧や心拍数を抑えて心臓の負担を軽くする薬などが使われます。さらに、狭心症や心筋梗塞のリスク要因を改善するために、脂質異常症や糖尿病の治療薬も使われます。

カテーテル治療

手首や太ももの血管から、先端が風船状にふくらむ機能をもったバルーンカテーテルを挿入します。バルーンカテーテルが、血管の狭くなっている部分や詰まっている部分まで到達したら、そこでバルーンをふくらませ、十分な血流が確保できる太さまで血管を拡げます。その後、必要に応じて、拡げた血管を維持するために、ステントと呼ばれる筒状の器具を血管の太さにあわせて調節し留め置きます。

外科的治療(冠動脈バイパス術)

胸部を切開して行う開胸手術です。十分に血流が確保できなくなった血管の代わりに、別の血管をつなげて新たな血流を確保します(冠動脈バイパス術)。つなげる血管は、自身の胸や胃、腕、ふくらはぎなどの血管を採取して使われます。

予防

狭心症や心筋梗塞が起こりやすくなるリスク要因には、生活習慣と密接に関係していることが多くあるため、健康的な食生活や適度な運動など、生活習慣を整えることが予防につながります。特に喫煙は大きなリスク要因なので、積極的に禁煙をしましょう。すでに生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)にかかっている場合も、治療や状態をコントロールすることが予防につながります。

医師紹介

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宇井 進 医師
1980年 慶應義塾大学医学部卒業

1980年 慶應義塾大学病院、1982年 東京都済生会中央病院、1988年 ドイツ フライブルク大学病院、1989年 東京都済生会中央病院(1989年より循環器科副医長、1997年より循環器科医長、1998年より循環器科・救急診療科医長、2002年より循環器科・救急診療科部長、2004年 中国 泰達国際心血管病医院客員教授兼任、2005年 中国 貴州省人民医院客員教授兼任)、2009年 府中恵仁会病院(2009年より院長補佐、2013年より院長、2018年より名誉院長)、2018年 調布恵仁会クリニック院長、2019年 亀田病院 循環器科部長。日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会認定内科認定医、日本心血管インターベンション治療学会CVIT名誉専門医、日本心臓病学会専門医(FJCC)。専門分野は虚血性心疾患、心不全、循環器全般。