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腎結石

公開日: 2021-06-21
更新日: 2023-11-21

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奥田 英伸 医師

腎結石とは

尿の通り道である、腎臓→尿管→膀胱→尿道のいずれかに結石(石状の異物)が留まり、排出できなくなる疾患を総称して尿路結石と呼びます。そのうち、尿をつくる臓器である腎臓に、結石(石状の異物)が留まり排出できなくなる疾患です。

原因

結石が発生する要因はさまざまです。生活習慣に関連することも多く、不健康な食事習慣や肥満、水分の摂取不足などが要因としてあげられます。そのほかにも、代謝異常や内分泌疾患など、特定の疾患に関連する場合や、遺伝性の要因で発生する場合もあります。一方で、原因がわからないこともめずらしくありません。
 
発生した結石は、通常であれば排尿の際に一緒に身体の外に排出されます。しかし、結石が大きくなり過ぎるなど、なんらかの事情で排出できなくなることがあります。

症状

結石が腎臓内に留まっている間は、ほとんど症状はありません。しかし、結石が腎臓と尿管をつないでいる腎盂や尿管に流れてはまりこむと、激しい脇腹や下腹部の痛み(疝痛発作)などの症状があらわれます。

検査・診断

症状がないことが多いため、自覚もなく、健康診断などのエコー検査で偶然見つかることがあります。腎結石が疑われた場合は、エコー検査やレントゲン検査などで結石の有無を確認します。このような検査では見つけられない場合などは、CT検査を行うこともあります。そのほか、尿検査や血液検査などが行われます。

治療・治療後の注意

結石がある場所、大きさ、数などによって治療は異なります。主な治療には、以下のようなものがあります。

疼痛コントロール

痛みがないことがほとんどですが、痛みがある場合には、鎮痛剤を使って痛みを軽減させます。即効性、効果ともに高い座薬が最もよく使われますが、効かない場合には点滴や筋肉注射が使われます。

自然排出を待つ

結石の大きさが10mm以下あれば、自然に排出することが期待できます。結石が小さいほど自然に排出される確率が高く、排出までの期間も短いとされています。尿量を増やすために水分を多く摂る、尿路の動きを促すために運動をするなどの日常生活指導で経過観察をしながら、自然に排出されるのを待ちます。
 
結石の大きさが10mm以上になると、自然に排石することが期待しにくいため、以下のような治療が行われます。

体外衝撃波結石破砕術 / たいがいしょうげきはけっせきはさいじゅつ(ESWL)

身体の外側から、圧力波の一種である衝撃波を結石に向けて照射し、結石を細かく砕きます。小さくなった結石は、尿と一緒に自然に排出されます。身体を傷つける必要がなく、麻酔も必要ありません。

内視鏡治療

細い内視鏡を尿道から結石のある場所まで挿入し、レーザーや空気衝撃波で結石を砕いて取り除きます。

開腹手術

腹部と腎臓を切開して、結石を取り除く方法です。現在ではほとんど行われません。どの方法でも結石が排出されない または 取り除けなかった場合などにまれに行われます。

予防

尿が濃くなると結石ができやすくなるので、日常的に十分な水分摂取をしましょう。そのほか、生活習慣と密接に関係している要因も多くあるため、健康的な食生活や適度な運動など、生活習慣を整えるのもよいでしょう。また、腎結石をはじめとする尿路結石は、再発率の高い疾患です。そのため、再発予防として、以下のようなことが推奨されます。
 
〇 再発予防
食事以外で1日2000mL以上の水分を摂取する / プリン体を過剰に摂取しない(1日400mg以内) / 塩分を控える / カルシウムを積極的に摂取する(1日600mg~800mg) / クエン酸を摂取する / 就寝前4時間は食事を控える など

医師紹介

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奥田 英伸 医師
大阪大学医学部卒業

2004年 大阪市立総合医療センター初期研修医、2006年 市立豊中病院、2008年 大阪中央病院、2009年 大阪大学医学部附属病院、2014年 オーストラリア モナシュ大学研究員・講師、2019年 守口敬任会病院。泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会)、腎臓専門医(日本腎臓学会)、透析専門医(日本透析医学会)、認定内科医(日本内科学会)。専門分野は腎不全、透析、血管外科、泌尿器科一般。