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帯状疱疹

公開日: 2021-06-21
更新日: 2023-11-21

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羽白 誠 院長

帯状疱疹とは

身体の左右どちらか一方に、赤い斑点(紅斑)や水ぶくれ(水疱)などの発疹が帯状に並んでできるウイルス性の感染症です。痛みをともなうことが多いのも特徴です。50歳くらいから発症のリスクが高くなり、80歳までには3人に1人が帯状疱疹を発症すると推定されています。

原因

原因ウイルスは水疱瘡と同じ水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV : Varicella-zoster virus)です。このウイルスに初めて感染すると水疱瘡になりますが、このときに体内に入ったウイルスは、知覚神経内に入り込み潜伏し続けます。通常であれば免疫機能によって、このウイルスの活動を抑えることができます。しかし、加齢や疲労、ストレス、なにかしらの病気などをきっかけに免疫機能が低下すると、ウイルスが再び活発になり増殖することで帯状疱疹を発症します。このように、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したことがあれば、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
 
また帯状疱疹は、ほかの人に水疱瘡としてうつることはありますが、帯状疱疹としてうつることはありません。

症状

身体の左右どちらか一方に帯状の発疹があらわれるのが特徴です。頭から足まで全身のどこにでも症状があらわれる可能性があります。主な症状は以下のように経過していきます。

主な症状と経過

1)皮膚の痛みやかゆみ
皮膚の一部にピリピリ・チクチクといった痛みやかゆみなどがあらわれます。この症状は数日続きます。
 
2)発疹
皮膚の痛みやかゆみの症状のあと、赤い斑点(紅斑)や水ぶくれ状(水疱)の発疹があらわれます。ここから1週間くらいの間に湿疹の発生や痛みが最も強くなることが多いです。
 
このピークをすぎると水ぶくれ状の発疹(水疱)が破れて、ただれた状態(びらん・潰瘍)になり、かさぶたになっていきます。かさぶたがはがれおち、すべての発疹が治るまでには、最初の症状があらわれてからおおよそ3週間ほどかかります。

特徴的な合併症

〇 眼部帯状疱疹
眼にも感染がおよび、眼の粘膜や神経にも炎症が起きることがあります。治療が遅れると視力の低下や失明にいたることもあるため、皮膚科 および 眼科での早期の治療が重要です。
 
〇 耳帯状疱疹
耳や耳周辺に感染がおよぶと、顔半分の麻痺、難聴、めまいなどの症状が出ることがあります。これはラムゼイ・ハント症候群と呼ばれます。こちらの場合も、難聴やめまいなどの後遺症が残りやすいので皮膚科 および 耳鼻いんこう科での早期の治療が重要です。

検査・診断

一般的な診察と皮膚の症状から診断されることが多いです。しかし、特徴的な症状が少なく判断が難しい場合は、血液検査や水ぶくれ状の発疹の組織を使ったウイルス検査などが行われることがあります。

治療・治療後の注意

抗ウイルス薬を使って治療します。使用する抗ウイルス薬には点滴と飲み薬があり、状態に合わせて種類や量が決められます。また、鎮痛薬を使って痛みに対する治療も行います。なるべく早い段階から抗ウイルス薬を使った治療をすることで、痛みの後遺症を予防する効果があるとされています。痛みが強い場合や長く続く場合には麻酔を使った治療をすることもあります。

帯状疱疹後神経痛(PHN)

後遺症として痛みが3か月以上続く状態です。高齢者がなりやすく、帯状疱疹になった高齢者の約2割にみられます。

予防

ワクチンで予防することができます。一般的な接種対象は、帯状疱疹を発症することが多くなる50歳以上となっています。また、「免疫不全」「免疫機能が低下している」「免疫機能が低下する可能性がある」など、発症リスクが高い状態であれば、18歳以上からが接種の対象となります。
 
保険適用外のため接種費用は全額自己負担ですが、市区町村によっては、費用の助成を受けられる場合があります。詳しくはお住いの市区町村に問い合わせてみましょう。

医師紹介

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羽白 誠 院長
1986年 大阪大学医学部卒業

1991年 大阪大学大学院医学研究科博士課程修了、博士号取得。1991年 箕面市立病院、1994年 関西労災病院皮膚科医長、2001年 国立大阪病院皮膚科部長、2004年 大阪警察病院皮膚科部長、2010年 はしろクリニックを開業。2008年-2011年 神戸女学院大学人間科学部非常勤講師。皮膚科専門医(日本皮膚科学会)、心身医療専門医(日本心身医学会)。専門分野は皮膚科心身症、アトピー性皮膚炎。