病院・薬局検索の病院なび

記事カテゴリ

脳卒中

公開日: 2021-06-21
更新日: 2023-12-18

医師紹介

工藤 陽平 の画像
工藤 陽平 医師

脳卒中とは

脳内の血管が急に詰まったり、破れたりして、脳に血液が行き届かなくなる脳血管障害による疾患の総称です。代表的なものに、脳梗塞や頭蓋内出血(脳出血、くも膜下出血)、一過性脳虚血発作などがあります。

原因

直接の原因は疾患ごとに異なりますが、リスクを高める要因は共通しており、以下のものがあげられます。
 
〇 リスク要因

  • 高血圧
  • 不整脈(心房細動)
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 喫煙
  • 多量飲酒
  • 肥満

など
 
このような要因の多くは、血流が悪くなったり、血の塊(血栓)ができやすくなったりするため、そこから血管の詰まりや破れにつながっていきます。

症状

脳卒中の症状は、脳内の血流が滞り、それによって脳細胞が損傷することで起こります。そして、それが脳のどの部位で発生するかで、症状のあらわれ方は異なります。主な症状は以下の通りですが、自覚症状に乏しい場合もあります。
 
〇 主な症状

  • 左右どちらかの顔や手足がしびれる / 麻痺する
  • 呂律が回らない
  • 言葉がでない
  • 文章が理解できない
  • 立てない
  • 歩けない
  • ふらつく
  • めまい
  • ものが二重に見える
  • 意識が朦朧とする
  • 激しい頭痛

など
 
このような症状があるなど、脳卒中が疑われる場合は、救急車を呼ぶなどして至急、専門の医療機関を受診しましょう。

検査・診断

問診や診察で症状の有無を確認します。脳卒中の疑いがあれば、CT検査やMRI検査などで脳の画像検査を行います。頭蓋内出血はCT検査で、脳梗塞はMRI検査で診断されることが多いです。さらに、脳血管の詰まりや出血を確認するために、血管の状態を映し出す画像検査を追加で行うことがあります。これらの検査には、造影CT検査やMRA検査、カテーテルによる脳血管撮影検査などがあります。

治療・治療後の注意

脳は一度損傷を受けると回復が難しいため、後遺症を残すことが多くあります。後遺症を最小限にするためには、早急に治療を受ける必要があります。症状があらわれてから2時間程度までを目安に、できる限り早く医療機関を受診することが重要です。
 
治療は、疾患によって異なりますが、大きく分けると「薬物治療」「血管内治療」「外科的治療」「リハビリテーション」があります。

薬物治療

疾患や進行の段階によって、血の塊を溶かす薬や血液をサラサラにする薬、血圧を下げる薬などで、血管の詰まりや出血の改善や再発予防をします。

血管内治療

疾患や血管の状態によって、問題のある血管までカテーテルをとおし、血管の詰まりを取り除いたり、出血を防いだりする処置をします。

外科的治療

頭部を切開して行う開頭手術です。カテーテルでの血管内治療ができない場合など、頭の骨をはずして血管の詰まりを取り除いたり、出血を防いだりする処置をします。

リハビリテーション

麻痺の後遺症がある場合は、リハビリテーションの治療によって、機能の回復と維持につなげることが重要です。立ったり座ったりの動作のための「運動療法」、箸を使ったり字を書いたり日常生活の細かな動作のための「作業療法」、話したり飲み込んだりする動作のための「言語療法」など、状態によって必要なリハビリテーションを行います。

予防

高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や不整脈(心房細動)は、脳卒中のリスクを高める要因です。そのため、これらの治療や状態を改善させることが予防につながります。また、喫煙や肥満、飲酒など生活習慣と密接に関係している要因も多くあるため、禁煙や健康的な食事習慣、適度な運動習慣など、生活習慣を整えることも予防につながります。

医師紹介

工藤 陽平 の画像
工藤 陽平 医師
2003年 聖マリアンナ医科大学卒業

2003年 聖マリアンナ医科大学病院、2004年 西島病院(2009年より救急診療部副部長、2010年より救急診療部部長)、2015年 三友堂病院(2015年より脳神経外科科長、2016年より救急部(HCU)部長)、2023年 三愛会総合病院。脳神経外科専門医(日本脳神経外科学会)、脳血管内治療専門医(日本脳神経血管内治療学会)、脳卒中専門医(日本脳卒中学会)、認定医(日本脊髄外科学会)、脊椎脊髄外科専門医(日本脊椎脊髄病学会・日本脊髄外科学会)、救急科専門医(日本救急医学会)、高気圧医学専門医(日本高気圧環境・潜水医学会)、認定産業医(日本医師会)。専門分野は脳卒中、血管内治療、救急診療。