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冷房病とは?症状と予防策【医師監修】

公開日: 2013-07-23
更新日: 2013-07-23
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最高気温が35℃を超える猛暑日も決して珍しくない日本の夏。熱中症を防ぐうえでもクーラーは欠かせない存在ですが、その半面、クーラーによる体の不調を訴える人も増えています。なんだか体がだるい、疲れやすいと感じたら、それは冷房病(クーラー病)の症状かもしれません。女性の場合は重症化すると、生理不順や重い生理痛につながることも。夏はノースリーブに素足と、薄着になりがちですが、予防のためには冷気になるべく肌をさらさないことが鉄則です。

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成子 浩院長

なぜ冷房病になるの?

私たちの体は周囲の気温に応じて変化します。夏の暑い時には、血管を拡張させて体の熱を外に逃がし、逆に冬は血管を収縮させて熱を逃がさないようにして、体温を一定に保っています。そしてこの体温調節の役割を担っているのが自律神経です。

ところがこの自律神経による体温調整も決して万能ではなく、温度差5℃くらいまでが限界です。そのため、冷房でキンキンに冷えた室内と30℃以上の屋外との行き来を何度も繰り返していると、過度の負担から自律神経が正常に働かなくなり、さまざまな体の不調が起こります。これを冷房病と呼びます。

どんな症状があるの?

体や手足の冷え、体のだるさ、疲れやすさ、食欲不振、頭痛、肩こり、腰痛、不眠、便秘、下痢などの症状がみられます。自律神経は免疫やホルモンの働きとも深い関わりがあることから、女性の場合は生理不順や生理痛の原因になることもあります。

冷房病の予防策とは?

冷房病は冷気から体を守ることと、規則正しい日常生活を送ることで、ある程度予防できます。

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対策1 クーラーの設定温度は25~28℃を目安に

室内と室外の温度差を5℃以内にキープし、自律神経が正常に機能する環境を整えることがポイントです。クーラーの設定温度の目安は25~28℃です。一日中冷房の効いた環境にいると、寒さに対する感覚が鈍くなる恐れがあります。必要以上に体を冷やすことにもなりかねませんので、朝晩の涼しい時間は扇風機に切り換えるなどの工夫も必要です。

対策2 寒いオフィスでは、羽織りものや靴下で自衛する

自宅と違ってオフィスやレストラン、交通機関などでは、自分でクーラーの温度調節をすることができません。そんな時はカーデガンやスカーフ、ひざ掛け、厚手の靴下などで冷えから体を守りましょう。肌の露出が多い服はもちろん、体を締め付ける服や下着も血行を妨げ、冷えを助長する原因になりますので、避けるのが無難です。

対策3 シャワー浴で済ませず、湯船につかる

夏もシャワー浴ではなく、ぬるめのお湯にゆっくりつかる習慣を身につけましょう。自律神経の乱れは、ストレスによっても引き起こされます。入浴には体を芯から温め、全身の血行を促すだけでなく、リラックス効果もあります。体の冷えとストレスの解消という二重の意味で、非常に効果的な冷房病対策だと言えるでしょう。半身浴や足湯もお勧めです。

対策4 不規則な生活、暴飲暴食を避ける

睡眠不足や暴飲暴食は自律神経に大きな負担をかけます。冷房病予防に限ったことではありませんが、日頃から規則正しい生活と栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。冷房が効いた場所での冷たい飲み物や食べ物の摂取は、体を内と外から冷やすことになります。ジュースやビールの飲み過ぎは避け、ショウガ、ニンニク、ネギ類、根菜類、コショウやトウガラシなどの香辛料といった体を温める食材を意識して取るとよいでしょう。

対策5 適度な運動で冷えにくい体を作る

人の筋肉には体の熱を作り出す働きがあります。それに対して脂肪は、一旦冷えると温まりにくい性質があります。女性に冷え性が圧倒的に多いのは、男性に比べて筋肉が少なく、脂肪が多いためです。運動は筋肉を増やすことに加え、全身の血流を改善する効果も期待できます。激しい運動でなくとも、ウォーキングのような軽く汗をかく程度の運動で 十分です。大切なのは続けることです。

暑さや寒さの感じ方には個人差がありますから、ここでご紹介したような予防対策を講じていても体調を崩すことはあるでしょう。そんな時は決して我慢せず、内科の医師に相談しましょう。

※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。

東京内科医会は、常に最新の医学知識を学び、最良の医療を実践する魅力を持った何かを主体に、診療を行っている医師の集まりです。