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突発性発疹 【医師監修】 症状・受診のタイミング・保育園の登園や外出の目安は?

公開日: 2019-07-10
更新日: 2019-07-10
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突発性発疹は2歳までにほとんどの子どもが感染するとされ、特に生後6か月~1歳半くらいの時期にかかりやすいウイルス感染症のひとつです。
急に38~40度の熱が3~5日ほど続いた後、熱が下がる頃に前後して、赤い発疹がおなかを中心に、胸や顔など全身にあらわれます。
突発性発疹で生後はじめて高熱を出す赤ちゃんも多くいますが、順調に回復することがほとんどです。

医師紹介

高橋 系一の画像
高橋 系一医師
順天堂大学 医学部卒
日本小児科学会小児科専門医
日本小児神経学会小児神経専門医
日本てんかん学会専門医
学校法人 道灌山学園理事長

症状と経過 - 突然の発熱と発熱後の発疹

〇 潜伏期間
約10~14日間

〇 症状と経過
1)発熱
突然38度以上の高熱がでて、38~40度の熱3~5日ほど続きます。発熱しているときは、下痢と軟便以外は目立つ症状がなく、比較的元気で機嫌が良い場合と不機嫌の場合があります。

2)発疹
発疹は、熱が下がる前後にあらわれはじめ、3~4日ほど続きます。

発疹の色は赤~ピンクで、大きさは3~5mmくらいです。おなかを中心にあらわれ、胸や背中、顔、手足など全身に広がります。その後は跡を残さずきれいに治ります

発疹に痛みはありませんかゆみもないことがほとんどですが、あってもごく軽度のことが多いです。

| 不機嫌
発熱中は機嫌が良いことが多いのですが、熱が下がり発疹がでる頃になると一転して不機嫌になることがよくあります。

原因はわかっていませんが、ほとんどは発疹が治まるのとともに機嫌ももどります。

< そのほかの症状 >
嘔吐 / 下痢 / まぶたの腫れ / 大泉門の腫れ / リンパ節の腫れ など

| 合併症
感染してから急に熱が上がるときに熱性けいれんを起こすことがあります。また非常にまれながら、脳炎、脳症など重篤な合併症の報告があります。

熱性けいれんに注意! 対処方法

熱性けいれんとは、生後6か月から5歳くらいまでの乳幼児が発熱した際に起こすけいれん発作のことです。通常、38度以上の発熱急に熱が上がるタイミングで起こることが多いです。

〇 主な症状
突然意識がなくなり、白目を向いて身体や手を突っ張り硬直させたり、両手足をガクンガクンと震わせます。呼吸が不規則になったり、顔色が悪くなることもあります。

この熱性けいれんは、突発性発疹では比較的よくみられる合併症です。
さらに、親が乳幼児期に熱性けいれんをしたことがある場合は、より起こしやすくなるので注意が必要です。
実際に目の前で熱性けいれんが起こると慌ててしまいますが、ほとんどの場合は5分以内で自然におさまり発達などに影響を与える心配はないとされています。
過度に心配せず、落ち着いて対応することが大切です。
事前に以下の適切な対応をシュミレーションして、いざというときに備えておくとよいでしょう。

〇 熱性けいれんへの対応

まずは、
1)安全で平らな場所に寝かせる
2)発作がはじまった時間を確認
3)けいれん止めの座薬が処方されている場合は使用する

次に、
4)衣服をゆるめて楽にする
5)嘔吐物が気管に入らないよう顔と身体を横に向ける
6)けいれんを観察する

呼びかけたり揺さぶったりせずに、静かにそっと見守りましょう。けいれん発作時には口に物を挟む必要はありません。

5~10分経つとほとんどの場合、けいれんは治まってきます。

けいれんが治まったら :
診療時間内であれば、落ち着いてかかりつけ医を受診しましょう。

休日や夜間などの診療時間外であれば、休日・夜間診療所や当番医、こども医療でんわ相談(#8000)などに、受診が必要かどうかを相談しましょう。

けいれんが治まらない ・ 呼吸が不安定 :
5~10分経過しても治まる様子がなかったり、呼吸が不安定な場合は、日中、夜間・休日に関わらず救急車を呼びましょう。

そのほかにも、次の場合は日中、夜間・休日を問わず早急に医療機関を受診しましょう。

〇 早急に医療機関の受診が必要なケース

  • けいれんを1日に2回以上起こす
  • けいれんに左右差がある
  • けいれんが治まった後もいつもと様子が違う
  • 嘔吐や機嫌の悪さなど他の症状がひどい
  • 生後6か月未満の乳児

受診のタイミングは?

聴診器を当てられる赤んぼう

突発性発疹は、最初にあらわれる症状が発熱で、熱が下がったころに発疹があらわれます。そのため、発熱しているときに受診をしても突発性発疹かどうかを診断することは難しいです。

一方で、発疹の症状があらわれるころに受診をすれば突発性発疹の診断はできますが、その頃には熱はさがっていて、発疹に対する薬はありません。
このように、突発性発疹は受診のきっかけがつかみづらいかもしれません

突発性発疹に限らず、発熱したからといって必ずしも受診が必要ということはないので、熱があっても、比較的元気があり、水分がとれている場合は、自宅で安静にして様子みてもよいでしょう。

以下のような状態があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

〇 早めの受診が推奨される場合
・ 水分がとれない
・ ぐったりしている
・ 熱が長引いている

上記に限らず、不安なことがある場合受診をしたほうが安心できる場合は、医療機関を受診するのがよいでしょう。

休日や夜間などの診療時間外であれば、休日・夜間診療所や当番医、こども医療でんわ相談(#8000)などに、受診が必要かどうかを相談しましょう。

うつる?感染経路は唾液を介して - 2回かかることも…

指をしゃぶる赤んぼう

突発性発疹の主な原因はヒトヘルペスウイルス6型で、次に多いのはヒトヘルペスウイルス7型が原因によるものです。7型のウイルスは、2~4歳頃のやや遅れた年齢に感染しやすい特徴があります。
季節性や流行性などはなく、1年中みられる感染症です。

感染経路は明確にはわかっていませんが、感染したことのある乳児や3~5歳の幼児の唾液中には高い頻度でウイルスが含まれています。また、感染したことのある大人の唾液にも時折ウイルスが含まれることがあり、それらの唾液を介して感染すると推測されています。
生後6か月~1歳半くらいの間にかかることが多いのは、ちょうど母親から胎内でもらった免疫が弱まってくる時期だからと考えられています。
一度感染すれば、一生を通じての免疫を獲得するため、同じ型のウイルスに再び感染することはありません。

しかし、ウイルスの種類が6型と7型の2種類あるため、過去に感染した型ではないウイルスに感染すると、突発性発疹に2回かかることもありえます。
また不顕性感染といって、典型的な症状は出ないけれども、実際には感染していて免疫はついているという状態になる人も20~40%います。
2歳までにはほとんどの乳幼児が一度は感染し、2~3歳までにほとんどの幼児が免疫を獲得します。

■参考サイト :
国立感染症研究所ホームページ 「突発性発疹とは」

大人の感染は極めてまれ

乳幼児期の早い時期にほとんどの子が一度は感染するため、大人になってから突発性発疹のウイルスにはじめて感染することは極めてまれです。

登園・外出の目安

遊具で遊ぶ子ども

突発性発疹は、特に明確な登園停止期間は設けられていませんが、厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」には以下のように記載されています。

○ 解熱し機嫌が良く全身状態が良いこと

引用) 厚生労働省 : 保育所における感染症対策ガイドライン

解熱後、発疹があらあわれる頃にはウイルスが排出されることは少ないと考えられています。

そのため、熱が下がっていて機嫌が良く、全身状態が良ければ、発疹が多少残っていても登園や外出をしても問題はありません。

発熱中は、登園はもちろん、習い事などの集団活動外出についても控えるのがよいでしょう。

治療は対症療法

哺乳瓶でミルクを飲む子ども

突発性発疹に対する薬や予防接種はないため、特別な治療方法はありません。ほとんどの場合は順調に回復します。
発熱に対する解熱剤、下痢症状がある場合には整腸剤など、特につらい症状があれば、それをやわらげる対症療法となります。発疹に対する薬・塗り薬はありません。

ただ、解熱剤は、熱があっても比較的元気があり水分も取れているようであれば使う必要はありません。
高熱や食欲不振で脱水症状にならないよう、しっかりと水分を補給しましょう。母乳やミルク、吸収されやすい経口補水液や乳幼児用のイオン飲料なども活用するとよいでしょう。

お風呂やプールは熱が下がっていれば普段通りでOK

お風呂やプールに入ることが直接の感染原因になることはありません。
しかし、発熱中のプールは控えましょう。お風呂は、発熱していても元気があれば、疲れさせない程度にぬるめのシャワーで汗を流したり、体を拭いたりしても問題ありません。
熱が下がっていれば、発疹がでていても入浴、プールともに普段通りで構いません。

発疹・発熱をともなうその他の感染症

座っている赤んぼう

突発性発疹のように、乳幼児期に起こりやすく、発疹・発熱をともなう感染症には次のようなものがあります。

発疹・発熱の症状があらわれたら、周囲で流行しているこのような感染症がないか、保育園や通っている習い事、児童館などで確認してみるとよいでしょう。