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結腸がん

公開日: 2016-06-22
更新日: 2023-12-05

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瀬尾 雄樹 医師

結腸がんとは

大腸は大きく分けると、盲腸、結腸、直腸に分けられます。このうちの結腸は、大腸のはじまり部分にあたる盲腸と、大腸のおわり部分で肛門につながる直腸の間、大腸の中間部分にあたります。結腸がんは、この部分に悪性の腫瘍が発生する疾患です。<br>
また、結腸がんを含む大腸の各部分に発生するがん(盲腸がん、結腸がん、直腸がん)は大腸がんと総称されます。そしてこれら大腸がんは、早期に適切な治療をすれば、完治が望めるがんです。

原因

大腸がんの一種である結腸がんの発生には、環境要因と遺伝要因などがあるとされています。

環境要因

いわゆる食生活の欧米化は、大腸がん発生のリスクを高めると考えられています。具体的には、乳製品などの動物性の脂質や、赤身肉などの動物性のタンパク質の摂り過ぎなどです。そのほか、生活習慣と関わりのある要因も多く、喫煙や飲酒、肥満がそれにあたります。また、運動不足は大腸がんの中でも結腸がんのリスクが高くなるとされています。

遺伝要因

生まれつき、大腸がんになりやすい遺伝性の疾患を受け継いでいる場合があります。なかでも、リンチ症候群や家族性大腸腺腫症がよく知られています。

その他

大腸ポリープや大腸の粘膜に慢性的に炎症を起こす潰瘍性大腸炎などから、ポリープや炎症部分ががん化することもあります。

症状

早期での自覚症状はほとんどありません。進行すると症状があらわれることが多くなってきます。がんができる場所によって、あらわれる症状は異なりますが、主な症状には以下のようなものがあります。

〇 進行したときの主な症状

  • 腹痛
  • 便秘/下痢(便秘と下痢を繰り返す)
  • 血便(便の表面に血や粘液がつく)
  • 下血(赤/赤黒い便がでる)
  • 便が細くなる
  • 残便感
  • 体重減少
  • 貧血
  • 腸閉塞

など

検査・診断

便の表面を採取して行う便潜血検査や血液検査、肛門から内視鏡を挿入して大腸全体(盲腸、結腸、直腸)を調べる大腸内視鏡検査などで、がんの疑いや腫瘍の有無を確認します。このような検査でがんが疑われた場合は、細胞や組織の一部を採取して生体検査が行われます。

がんと確定した後は転移がないかを確認するために、CT検査やMRI検査などの画像検査を行います。さらに手術を行う場合には、大腸に造影剤を入れて行う画像検査(注腸造影)などで、がんの深さや位置などを調べます。

治療・治療後の注意

治療の中心となるのは「内視鏡治療」「外科的治療」です。そのほかには「薬物治療」などがあります。

内視鏡治療

大腸内視鏡でがんを取り除きます。がんが小さく浅い、早期のがんが対象です。予想以上にがんが深かった場合や取り残しがある場合には、後日、外科的治療が行われることもあります。

外科的治療

腹腔鏡による手術 または 腹部を切開して行う開腹手術があります。がんが大きく、深いことが疑われる場合が対象です。転移や転移のリスクがある部分を含めて、がんから十分な距離をとって切除します。すでにがんが周辺臓器に広がっていたり、リンパ節などに転移していたりする場合は、それらの切除も同時に行われることがあります。がんのある部位や状態によっては、一時的 または 永久的な人工肛門を作ることがあります。

薬物治療

抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬を使った治療です。切除することが難しい場合に、進行を抑えたり、症状をコントロールしたりする目的で行われます。また、「外科的治療」の補助的な治療として、がんが取りきれなかった場合や再発・転移を抑えるために行われることもあります。

予防

動物性の脂質やタンパク質の過剰な摂取は控え、バランスのよい食事を摂りましょう。特に、食物繊維やカルシウムの摂取は、大腸がんの予防に有効であると考えられます。そのほかのリスク要因に関連して、禁煙や過度な飲酒を控える、肥満の予防・解消など生活習慣全般を整えることも有効です。

また、便潜血検査や大腸内視鏡検査は、死亡率を減少させる効果がある有効な検査です。リスクの高くなる40代くらいからは、これらの検査を定期的に受けることも推奨されます。

医師紹介

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瀬尾 雄樹 医師
千葉大学医学部卒業

2006年 東京歯科大学市川総合病院臨床研修医、2008年 国立病院機構霞ヶ浦医療センター、2009年 足利赤十字病院、2010年 慶應義塾大学医学部外科学教室 一般・消化器外科助教授、2013年 足利赤十字病院外科、2015年 立川病院外科医長、2018年 足利赤十字病院外科副部長。日本消化器外科学会消化器外科指導医、日本外科学会外科指導医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡指導医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病指導医・評議員、日本内視鏡外科学会内視鏡外科技術認定医・ロボット支援手術プロクター、日本腹部救急医学会腹部救急認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本臨床外科学会評議員。専門分野は大腸、肛門系疾患。