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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

公開日: 2016-09-07
更新日: 2024-02-27

医師紹介

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

Chronic Obstructive Pulmonary Disease の略称で、肺の炎症によって、空気の通り道である気道や気管支が狭くなってしまう慢性気管支炎と、酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞が壊れて呼吸困難となってしまう肺気腫の総称です。喫煙などの生活習慣が主な原因となるため、「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。

原因

最大のリスク要因は喫煙です。COPD患者の90%には喫煙歴があります。そのほかに、大気汚染や受動喫煙、粉塵、化学物質などがあげられます。タバコの煙などに含まれる有害物質を長期に渡って吸い込むことで、気管支の炎症や肺胞の破壊を引き起こします。

症状

主な症状には以下のようなものがあります。
 
〇 主な症状

  • 長引く咳
  • 息切れ
  • 息苦しさ

など

かかり始めはほとんど症状がありませんが、悪化すると少しの動作や安静にしているときでも息切れなどの症状が出るようになります。

検査・診断

問診で、喫煙歴や症状の有無、日常生活への支障がどれくらいあるのかなどを確認します。COPDの疑いがある場合は、スパイロメーターという機器を使って、息を吐きだす量(肺活量)や息の通りやすさを確認する呼吸機能検査(スパイロメトリー)が行われます。また、肺の状態を確認するために、CT検査などの画像検査が行われることもあります。

治療・治療後の注意

主な治療には、「禁煙・原因物質の回避」「薬物治療」「呼吸リハビリテーション」「在宅酸素療法」があります。

禁煙・原因物質の回避

最たる原因である喫煙をやめることが第一です。受動喫煙や粉塵、化学物質などの原因物質が特定されている場合には、原因物質を避けて生活することで治療をしていきます。

薬物治療

気管支を広げて呼吸を楽にする気管支拡張薬や、痰をとる去痰薬(飲み薬)などが使われます。気管支喘息などの症状もある場合には、ステロイドの吸入薬を使用することもあります。

呼吸リハビリテーション

主に腹式呼吸などの呼吸訓練をはじめとする、呼吸リハビリテーションを行います。息切れの症状をやわらげたり、運動能力を回復・維持したりすることで、生活の質を向上させます。

在宅酸素療法

薬物治療や呼吸リハビリテーションを実施しても症状の改善がみられず、運動時や睡眠時に血液中の酸素が不足してしまう場合には、自宅に酸素吸入器を設置し、持続的に酸素を吸入する在宅酸素療法を検討します。

予防

最大のリスク要因は喫煙であるため、禁煙は最も効果的な予防法です。ほとんどのCOPDは禁煙によって予防可能です。COPDに限らず、さまざまな疾患のリスク要因にもなり得るため、禁煙外来を受診するなどして、積極的に禁煙をしましょう。

医師紹介

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山口 敏行 医師
1994年 長崎大学医学部医学科卒業

2004年 埼玉医科大学感染症科・感染制御科講師、2018年 東日本成人矯正医療センター感染制御部門長、2022年 東京慈恵会医科大学感染制御科教授、同附属柏病院感染制御部診療副部長。総合内科専門医(日本内科学会)、呼吸器専門医(日本呼吸器学会)、感染症専門医(日本感染症学会)。専門分野は呼吸器感染症、HIV感染症、耐性菌感染症、感染性廃棄物、矯正医療。