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突発性発疹

公開日: 2016-09-07
更新日: 2021-03-30

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吉田 明生 院長

突発性発疹とは

突発性発疹とは、季節性や流行性などはなく、1年中みられるウイルス性の感染症です。突然、38℃~40℃以上の高熱がでると、それが数日続き、熱が下がる頃に前後して、赤い発疹がおなかを中心に、胸や顔など全身にあらわれます。2歳までにほとんどの子どもが感染するとされ、特に生後6か月~1歳半くらいの時期にかかりやすいとされています。そのため、生後はじめての発熱の原因になることも多いですが、順調に回復することがほとんどです。

原因

主な原因はヒトヘルペスウイルス6型で、次に多いのはヒトヘルペスウイルス7型が原因によるものです。7型のウイルスは、2歳~4歳頃のやや遅れた年齢に感染しやすい特徴があります。
感染経路は明確にはわかっていませんが、感染したことのある乳児や3歳~5歳の幼児の唾液中には高い頻度でウイルスが含まれています。また、感染したことのある大人の唾液にも時折ウイルスが含まれることがあり、それらの唾液を介して感染すると推測されています。

症状

症状と経過

1)発熱

突然38℃~40℃以上の高熱がでて、3日~5日ほど続き、自然に解熱します。発熱しているときは、あまり目立った症状はありません。比較的元気で機嫌が良いことも多いです。

2)発疹

発疹は、熱が下がる前後にあらわれはじめ、3日~4日ほど続きます。発疹の色は赤~ピンクで、大きさは3mm~5mmくらいです。おなかを中心にあらわれ、胸や背中、顔、手足など全身に広がります。その後は痕を残さずきれいに治ります。発疹に痛みはありません。かゆみもないことがほとんどですが、あってもごく軽度のことが多いです。

そのほかの症状

発嘔吐 / 下痢 / まぶたの腫れ / 大泉門の腫れ / リンパ節の腫れ など

不機嫌

発熱中は機嫌が良いことが多いのですが、熱が下がり発疹がでる頃になると一転して不機嫌になることがよくあります。原因はわかっていませんが、ほとんどは発疹が治まるのとともに機嫌ももどります。

合併症

感染してから急に熱が上がるときに熱性けいれんを起こすことがあります。また非常にまれですが、脳炎、脳症など重篤な合併症の報告があります。

検査・診断

特別な検査はせずに、一般的な診察で年齢や症状などから診断します。確定診断には、ウイルス検査や血液検査などがありますが、基本的には行われません。

治療・治療後の注意

特別な薬や治療法はありません。自然によくなることがほとんどです。発熱に対する解熱剤など、つらい症状があれば、それらを和らげる対症療法が中心となります。ただ、解熱剤は、熱があっても比較的元気があり水分も摂れているようであれば使う必要はありません。発疹に対する飲み薬・塗り薬はありません。
高熱や食欲不振で脱水症状にならないよう、しっかりと水分を補給しましょう。母乳やミルク、吸収されやすい経口補水液や乳幼児用のイオン飲料なども活用するとよいでしょう。

予防

基本的には自然に治るため、特別な予防法や予防接種はありません。突発性発疹に限らず感染症の予防には、普段の手洗いとマスクの着用をはじめとした咳エチケットが有効です。

医師紹介

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吉田 明生 院長
東北大学医学部卒業

小児医療を専門とする国立成育医療研究センターで幅広い経験を積む傍ら、アレルギー疾患の専門的な臨床・研究にも従事。その後、地域の中核病院でアレルギー専門外来のほか、新生児医療の経験などを経て、2020年に専門である小児科とアレルギー診療に力を入れた「もりやまこどもとアレルギークリニック」を開業。日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。