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水疱瘡(水痘)

公開日: 2016-09-07
更新日: 2021-04-15

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吉田 明生 院長

水疱瘡(水痘)とは

ウイルスに感染することによって、特徴的な発疹があらわれる感染症です。正式な病名は「水痘(すいとう)」といいます。冬から春にかけて流行することが多く、10歳までにかかることがほとんどですが、2014年から予防接種が定期接種になったことで、それ以降の患者数は大幅に減っています。

原因

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV : Varicella-zoster virus)に感染することによって起こります。このウイルスはヘルペスと同じ仲間に分類されています。感染経路は「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」です。発疹の中の液体にはウイルスが含まれているため、発疹がつぶれるなどして漏れ出た液体に触れると、感染につながることがあります。すべての発疹がかさぶた(痂皮)状になると感染力はなくなります。

症状

ウイルスに感染すると10日~21日ほどの長い潜伏期間を経て、発疹、発熱、倦怠感などの症状があらわれます。発疹はかゆみをともないます。発疹以外の症状は比較的軽いことが多いです。
 
発疹は通常、頭皮や顔 → 胸・おなか・背中などの体幹部(胴体) → 手足 の順で全身に広がっていきます。また、発疹は赤く盛り上がった発疹(丘疹)から水ぶくれ状の発疹(水疱)、かさぶた(痂皮)へと変化していきます。数日かけて次々と新しい発疹があらわれるため、これらの状態(丘疹・水疱・痂皮)が混在する時期があるのも水疱瘡の特徴です。
 
発疹があらわれはじめてから1週間前後ですべての発疹がかさぶた(痂皮)になります。それらのかさぶた(痂皮)がはがれおち、すべての発疹が治るまでには、おおよそ3週間ほどかかります。

合併症

最も多いのは、発疹に細菌が付着して起こる細菌性二次感染(とびひ、蜂窩織炎など)です。まれですが、重症化すると、ウイルスによる脳炎、特に小脳炎や水痘肺炎を起こすことがあります。

検査・診断

特別な検査をせずに、一般的な診察で症状や周囲の流行などから診断します。確定診断には、血液検査やウイルス検査などがありますが、ほとんど行われません。

治療・治療後の注意

子どもの場合は、経過が良好なことがほとんどです。そのため、特に薬を使わずに自然に治るのを待つこともあります。
 
治療に使われる薬には以下のようなものがありますが、特に解熱薬の中には、使用すると重篤な副作用(ライ症候群)を引き起こすものがあります。自己判断での市販薬の使用は避けましょう。

抗ウイルス薬

ウイルスを死滅させるのではなく、それ以上ウイルスが増えないようにする薬です。発疹が出てから48時間以内に服用を開始するのが効果的です。

塗り薬

発疹のかゆみを抑える薬などが処方されることがあります。

その他の薬

広い範囲でかゆみがあるときは、飲み薬のかゆみ止めとして抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。また、高熱が出ているときには解熱剤が処方されるなど、症状に応じた薬が処方されます。
 
できるだけ安静にして、熱が出ているときには水分補給をこまめにしましょう。発疹が出ている間は、湯船にはつからず、シャワー浴にするのがよいでしょう。身体があったまるとかゆみが増すため、かゆみがあるときは短時間ですませましょう。

予防

水疱瘡の予防接種は、2014年10月から定期接種となりました。接種回数は2回です。2回の予防接種で抗体ができる割合は90%以上です。その抗体は20年間体に残ることが確認されています。

医師紹介

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吉田 明生 院長
東北大学医学部卒業

小児医療を専門とする国立成育医療研究センターで幅広い経験を積む傍ら、アレルギー疾患の専門的な臨床・研究にも従事。その後、地域の中核病院でアレルギー専門外来のほか、新生児医療の経験などを経て、2020年に専門である小児科とアレルギー診療に力を入れた「もりやまこどもとアレルギークリニック」を開業。日本小児科学会小児科専門医・指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。